公益財団法人 愛媛県視覚障害者協会
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前会長コラム

前会長コラムは、毎月1日に発行しているメールマガジン「愛eyeメール」の巻頭言に掲載した記事です。

平成24年10月号「時を越えた不思議な縁」

 非常に強い台風17号が通過しましたが、皆様の地域では被害が出なかったでしょうか。近年、異常気象と言われるようになり、豪雨による土砂災害など多くなっていますが、今回の台風による被害が無いことを願っています。

 私は昨年9月から日曜日の朝、座禅に行っています。昨日は台風の影響で雨が降っていましたが、風が吹いていなかったので、傘を差して出かけられました。松山市高砂町にある景徳寺で日曜座禅会が行われています。毎週日曜の午前7時から8時まで座ります。その後、和尚さんのお話を聞いて帰ります。

 座禅というと無我の境地になり精神修養をするように想っていたのですが、私に座禅を勧めてくれた方から、呼吸によるスポーツみたいなものだと聞かされて意外でした。腰を立てて背筋を伸ばして、息をゆっくりと長く吐くことだけに集中して行うということです。座禅の呼吸を丹田呼吸といい、臍の下の丹田に力を入れてゆっくり息を吐き出し、息を吸うのはスポイトで吸い込むように自然に力を抜いて行うのだそうです。呼吸の数を数えながら、呼吸だけに集中できれば、結果として他のことを考えていないことになります。何も考えないというと大変難しいことですが、呼吸だけに集中することがうまくできればいいということです。しかし、最初は呼吸のリズムが崩れて苦しくなったり、どうしても数を数えているのに集中できなくなり、妄想が出て来ます。呼吸がうまくできるようになるのは長い時間がかかりそうです。

 座禅を始めて1年ですが、体験して気付いたことがあります。冬は氷点下の中、外の気を入れるため窓は開けて風が吹き込む処で座ります。座禅は裸足で行いますが、しっかり呼吸していると不思議に寒く感じません。足も温かくなります。夏は蒸し風呂のような中ですが、座禅を終えるとさわやかになります。蚊が刺しても動かず座ります。座禅を終えると、汗をかき、お腹がすき、便通も良くなります。呼吸によるスポーツと言われるのが分かるような気がします。座禅が、姿勢、呼吸、心を調えて、健康によいと実感しました。

 それから不思議な縁がありました。私が座禅を始めたときに景徳寺の住職から世良彰雄先生が熱心に座禅に来られていたことを聞かされました。世良先生は、昭和45年に財団法人格を取得した最初の会長であり、昭和47年に盲老人ホーム権現荘を設立しておられます。丁度その頃、私は景徳寺の近くにある勝山中学校に通っていました。中学2年のときに眼の病気が発見されて、視覚障害があることが分かり、盲学校への進学を決めました。40年前に世良先生が座られていた場所で、私も座っています。今になってこんな出会いがあるとは想いもしませんでした。

愛eyeメール第123号 平成24年10月号巻頭言から 和田浩一