第63回福祉大会 宣言
「第63回愛媛県視覚障害者福祉大会」が県内各地の視覚障害者とその関係者が一堂に会し、盛大に開催できましたことは望外の喜びであります。これは愛媛県当局をはじめ関係各位の御尽力の賜物であることに参加者一同心から感謝申し上げます。
愛媛県視覚障害者協会は、昭和45年に財団法人格を取得しました。以来諸先輩たちのたゆまぬ努力によって本県の視覚障害者福祉は著しく前進し、我々が今その恩恵を受けていることに対し心から感謝いたすとともに、大会決議案にも記された課題について更に強力な運動を推し進めていく決意を新たにしています。
さて、障害者総合支援法が平成25年4月1日に施行される見通しとなりました。障害者手帳を持たない難病患者も、障害福祉サービスを受けられるよう新たに見直されたことや、重度訪問介護サービスの対象に、重度の知的・精神障害者も含めるという修正内容です。また、現行6段階の「障害者程度区分」を、法施行後3年をめどに見直すほか、障害程度区分に応じて、市町村がサービス内容を画一的に決めている現状も見直すとされています。しかし、障害サービス利用料の原則無料化については見送られ、「障害者総合支援法」は障害者自立支援法の廃止ではなく、事実上の改正案にとどまっています。
昨年8月に総合福祉部会が、サービス利用料の原則無料化や自立支援法を廃止して「総合福祉法」を制定するなどとする「骨格提言」をまとめていますが、新法には60項目中3項目しか反映されていません。障害者福祉制度の見直しに当たっては、私たちにとって不可欠な同行援護サービスの充実、入院時のホームヘルプサービスの適用、また障害程度区分決定において、視覚障害者が不利益を生じないような改正等の完全な経済的自立と社会参加に向けた運動を強化していかなくてはなりません。
2008年5月3日に発効した国連障害者権利条約については、障害者の差別をなくするための国内法の整備を急ぎ、わが国でも早期に批准されるための運動が必要です。
視覚障害者の生活の糧である鍼灸マッサージを守るため「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律(第19条)」を堅持するとともに、あん摩マッサージ指圧・はり・きゅうの手技の定義を明記するための法改正を強く求めていきます。これ以外の職域開拓、中途障害者の社会復帰も重要な課題であり、職業リハビリテーションの充実が急がれます。情報技術の発展が視覚障害者にとって不利とならないように、アクセシビリティーの高い情報機器の開発と普及、並びにハード・ソフト等を購入する際の助成制度の充実が必要です。また、利用者の情報活用能力の向上のため、本会が実施している「パソコンボランティア養成・派遣事業」の一層の充実を図ります。
移動のバリアフリーに関しては、「バリアフリー新法」の制定等により、法的にはかなり整備されつつありますが、視覚障害者が駅ホームから転落して亡くなるという痛ましい事故が絶えないのも事実です。日盲連のアンケートによると4割の視覚障害者がホームから転落した経験があるとの報告があります。視覚障害者の命を守るため、駅ホームへの可動柵設置、新しい誘導ブロックの敷設、電子歩行補助具を補装具の支給対象にするなど安全歩行対策の確立を関係各方面に強く求めてまいります。
盲学校の聾学校への移転・統合問題については、平成21~25年度までは見送りとなりましたが、愛媛県教育委員会及び県立学校再編整備計画検討委員会が方針転換しない限りこの問題は解決しません。私たちは今後とも関係者との連携を図りながら、盲学校の専門性の確保と視覚障害者の総合センターとしての機能が維持できるよう強く要望していきます。
急速に進展する少子高齢社会にあって、本会も会員の高齢化が進み、会員数が減少傾向にあります。本会は、円滑な会務運営を行いつつ、事業・財政を抜本的に見直し、平成25年4月1日からの公益財団法人への移行を目指します。
私たちは社会を構成する一員として社会に貢献し、視覚障害者が生きがいをもって心豊かに、安心して暮らしていける共生社会の実現に向けて力強く前進していくことをここに宣言します。
平成24年6月10日
第63回愛媛県視覚障害者福祉大会